最初に設計者に求められたことは、実は「間取り」や「面積」ではなく「白い家」にして下さいということでした。当該敷地は隣接する実家も含めて、隣家が四方から迫っていて、いわゆる都市型住宅が 常日ごろ直面する問題(視線や日照、日影など)がここでも満載というわけです。ですから「どこを開けて、どこを閉じるか」の判断が設計をまとめて行く上で最も注意を要したポイントでした。ここに設計されている三つのテラスが「開放」の、二枚の独立壁が「閉鎖」の機能を代表するシンボルということができます。



細長い敷地の最奥に計画してあります。ここは周辺より8M程高くなっていて、ちょうどここの2階から八ヶ岳連峰が見渡せます。 ですからここに和室を配置して、その正面を八ヶ岳の方向に向けることとしました。このことで発生した建物本体と和室の間で発生した軸線のずれ(角度)は、この建物に変化を与え、とりわけ内部の吹抜けに楽しい空間を発生させています。



この住宅に建面は7坪ほどしかありません。ここに若い夫婦の「生活」を組み込むことになりました。また当初より南欧風の外観と材料の使用が求められておりました。これは設計における大きなテーマと言えるものです。また内部設計においては、各空間の連続性のなかにロフトやスキップ階段を配することで、この狭小な住宅の機能性や居住性を高めることが出来ています。



建主の示した条件は「リビングと玄関は2階に」そして「絵が沢山架けられる大きな壁面を」というものでした。そこから設計では半円形のLDを導き出しました。結果として大きな連続壁面を獲得することができましたし、この形状はまたLDに終日日照をもたらすことも出来ました。建主にはうれしいところです。



建主は独立閉鎖型(従来型)の子供室は作らないことを望みました。設計者としてはこのことを踏まえて、1階に家族間のもう一つのコミュニケーションの場として「共同書斎」を設けました。そこで子 供専用のスペースとしてはここに隣接した本棚を挟んで、ベットスペース+クロゼットのみの小空間が用意されています。 2階リビング上部の吹抜けには「空中茶室」が浮かんでいます。 なんとなく家族の気配を感じながらも一人で居たいというご主人の要求に対しての設計者からの提案です。