この住宅は3つの箱と1つの壁で構成されている。シンプルな平面であるが断面に変化を与えることで、内部になったり外部になったり歩くたびに視界がどんどん展開していく不思議な空間になっている。一条の光、柔らかな光、満ちている光、翳りは空間をより明瞭にする。・・・空間は自由に使う。食事も中庭で食べたりデッキで食べたり、多人数の時は駐車スペースで脚の上にベニヤをのせ布をかければテーブルになる。子供たちは階段で本を読んだり…家族がそのときの気持ちや環境で家をどう使うか。建物全体、そして全ての室が、そこで集う人々の全ての行為を包み込む。

建築主は毎夏東洋一といわれる「PL花火」が間近に打ち上げられるこの土地を5年間かけて探し出した。遠方には山が見え、眼下には街が広がる。元々敷地中央にあった3m強の段差が、この住宅の軸となる壁を思い立たせた。この壁は来る人に奥行きのあるアプローチを強く印象づけ奥へと導く。そして、奥に設けられたいくつかの壁に切り返されつつ、居間に進む。夏の夜を彩る花火を屋上で仲間たちと楽しみ、居間の障子を開け放ち山の移ろいを日々眺め、木漏れ日や心地よい風を感じる。

住宅や店舗の密集する住宅街の一画の敷地である。家族は共に仕事を持つ夫婦2人、住まいは仕事の後の安らぎを与える場所となる。建物を壁で囲まれたこの住まいは、中庭を中心に構成されており、そこに1本の木と2枚の壁を置くことで住まいに広がりを与える。壁に囲まれ一見閉鎖的に見えるが、風も音も大きな格子から中庭を抜け、空へと抜けていく。外からの視線を一切遮断しつつ、中では夫婦だけの空間が展開する。

閑静な住宅地の一画に位置する住まいである。建築主が好んだ塗壁は、シンプルなファサードの印象を和らげる。この住宅には2階のキッチンを中心に、居間・食堂と半屋外になる第2のリビングがある。正面から見える格子戸と中庭側の引き戸を全面開口すると、家の中にいながら外の空気を感じるリビングとなる。肌寒い日は暖炉に灯をともし、大人たちは楽しく会話する。

住宅、アトリエ、学生向けワンルームの賃貸室と子供室を納めた複合住宅として、建築とランドスケープ・デザインのコラボレーションによって設計された。「白雨館」は夜来の雨が上がった翌日の朝、太陽の昇り出すころがもっとも美しい。居間のトップライトのガラスに止まっている雨露が、陽の光を受けて室内の白い壁にあふれるような無数の線状痕を映し出すのだ。「白雨館」の名は、建築主の兄である詩人・佐々木幹郎氏がこの瞬間を見て名付けたものである。この純白の住宅は、空間に秘められた自然の造形をあらためて気づかせてくれる静謐な器である。